【OOSHITA’s BLOG】

私たち夫婦が結婚翌年に引っ越した新居。
これがなかなかのシロモノでした。

ここも平屋の寮でしたが、築40年だか50年だかの木造で、あらゆる箇所がボロボロ。
家全体がジメジメしていて、引っ越し当日に先住者(要はゴキブリ)とも対面しました。

畳が波打っているのは当然として、歩くと床が悲鳴を上げ、和室に入るとなぜか家全体が揺れました。
荷物を運びこむ際に床が抜けなかっただけでも幸運だったかもしれません。

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更にトイレが壊れていて流れず、いきなり自費修理を強いられ、
テレビはなぜか映らず、
無駄に広い敷地は雑草だらけ…
もちろん防音や防熱なんて望むべくもありません。

私は過去にもこれに近いボロ寮に住んだことがあったので、まだ我慢できました。
しかし、嫁にとっては想像を超えるボロさ。
「大丈夫、多分すぐ慣れるから」の言葉とは裏腹に、表情から余裕がなくなっているのが分かりました。

それでも私としては、せっかく引っ越しを終えたところだし、実際慣れたら大丈夫だろう、という気持ちもありました。

が、

引っ越しの直後、春の嵐が吹き荒れた日の夜。
仕事を終えて帰宅してみると、相変わらずジメジメした薄暗い部屋の中で、嫁が泣きながら畳にコロコロをかけているではありませんか。

ど、どうした?

聞いてみると、「暴風のせいで、通気口から虫の死骸が大量に吹き込んできた」とのこと。
よく見てみると確かに、畳や布団の上、食器の並んだ食卓の上にまで、カピカピに乾いた虫の死骸が無数に…

普段と違うどんよりした表情で口数少なくコロコロをかけ続ける嫁を見て、鈍感な私も「これはアカンぞ…」と察しました。

贅沢な家なんて望まない、多少古かったり不便なのは当たり前。
そう思っていましたが、「そうはいっても、住んでいて落ち込んでしまうような家ではマズイんだ」と、この時思い知ったのです。

こうして私は、入居3日目にして、再引越しを決意したのでした。

             ・・・つづく。