【OOSHITA’s BLOG】
事前情報によると、X工務店はなるべく価格を抑えるべく、余計な経費を減らす努力をしています。
だから常設のモデルハウスなんかは無く、打合せ場所を兼ねた小さなショールームがあるのみ。
そんなところもこの会社の魅力なんだぜ。
嫁相手に力説しながら、目的地に到着。
「着いたぞ!ここだ!」
と、威勢よく言いたかったんですが…
ちょっとね、黙ってしまいました。
ショールームが小さいのは良いんです。
古くても、質素でもいいんです。
言葉に詰まってしまったのは、駐車場がひどく散らかっていたからです。荒れていた、という方が正しいかもしれません。
非舗装なのはしょうがないとしても、雑草伸び放題、デコボコが激しく水溜りだらけ、ドリンクの空き瓶やバンドエイドの空箱が落ちている。
お客や取引相手を迎える駐車場が、コレ?
現場の管理もきっちりしてる会社だって評判だったのに…
ちょっとガッカリしましたが、でも、そこはX工務店ファンの私。
いやいや、今日はたまたまだ。
たまたま雨後だから酷く見えるだけ。
ゴミは誰かにポイ捨てされたんだ。
もしくは、誰かから借りている駐車場で、勝手に整地したり出来ないんだ。
嫁と自分にそう言い聞かせ、予定より数分早かったですが呼び鈴を押しました。
しかし、ドアの前で待っている間、嫁の顔が曇るのが分かりました。
そして、その原因も分かりました。
視線の先は、玄関脇に貼られた無垢の羽目板。劣化してカビも生え、綺麗とは言えない状態でした。
ショールームに金をかけないのは分かったし、無垢材の劣化は屋外だから仕方ないのかもしれない。
でも、もうちょっと何とか掃除や手入れはできんのかな?
この事務所は一応、会社の顔だろうに。
それに、玄関外に無垢材を使うデザイン、施工例にもいっぱいあったぞ。
建てて何年かしたら、みんなこんな風にみすぼらしくなっちまうのかな…
中に入れてもらってからも、私が(勝手に)積み上げてきた想いはガタガタと崩れていきました。
まず、クラックが入らないように施工するという塗り壁。
でも、あっさりとクラック見つけちゃいました。わりと大きいのを。
そして自慢の気密断熱性能を支える断熱材は、グラスウール。
充分な断熱性能があると言われましたが、吹付派の私は気が進みませんでした。
グラスウールは、データを見る限り断熱性能で吹付(ウレタンフォーム等)に劣るし、経年によって縮んだり脱落して空洞ができちゃうイメージがあって。
もちろん量(厚み)や施工方法にもよるんでしょうけど。
これについては、実際の壁の一部だけを切り取ったような構造模型を見せられながら「隙間は出来ませんから大丈夫です」と言われましたが、どうにも信用できませんでした。
だって、見せられているその構造模型のグラスウール自体が、縮んでスカスカでしたから…
この時点で嫁のテンションは10段階の2くらいまで低下。
これまでの事前情報にすがりつくことで辛うじて5くらいを保っていた私でしたが、
X「他の会社も見てこられたんですか」
私「はい、大手も地元工務店も。
でも大手って高いですよね〜」
X「そのことですが、ウチの会社は色々こだわってるので、それなりの値段にはなります」
実は新しい住宅雑誌で「参考坪単価60万円〜」と書かれているのを知っていた私。
小規模工務店としてはちょっと高めだけど、それは性能の高さのためだと納得していました。ここに来るまでは。
でも実際に会社まで来て話を聞いて、
「この会社で坪60〜というのはやっぱり高い。
その値段以上にかかるようなら、残念だけど候補から外そう」
と考えていました。
そんな時、担当者の口から出た言葉は…
X「ウチのいわゆる坪単価は、大体70万円台の終わりくらいからになります」
私「…What?」
X「要は78万とか、それくらいからです」
私「 …実は私、雑誌に載ってた参考坪単価も見て来てるんですけど…」
社「それは本当の最低価格であって、実際にウチの◯◯(商品名)を建てて住もうと思うと、坪80万弱はかかることになります」
私「…そうなんですか。
でもHPには△△(ワンランク下の商品名)というのも載ってますよね?あれなら…」
社「△△は、現在お取り扱いしておりません」
GAME OVER。
「60万円〜」と表示している以上、60万円位でも一応建てられるはず。
そう思っていた私が甘かった。
後ろで子供をあやしながらこちらを見ていた嫁によれば、坪単価を聞いた時の私たちの反応を見て、担当者もこちらに見切りをつけたようです。
私たちが「この会社は無いな」と決めたのと同時に、あちらも「この客は無いな」と判断したんでしょうね。
まぁ、正しい状況判断ではあります。
実際、その後の話の熱の無さは酷いものでした。お互い様でしょうけど。
後で考えると、坪単価の話や△△取扱終了の話は、ひょっとしたら私たちを追い返すための嘘だったのかもしれません。
だって△△、未だに商品ラインナップとして雑誌や会社HPに載ってますから。
同社で建てた20軒以上の情報を載せているサイトを見ると、やはり坪単価は平均値で60万くらいだし。
そう考えると、自分たちがよほど失礼なことでも言ったんだろうかと考えてしまいます。
ファンとして、愛想よく振る舞ったつもりだったんですが…
ここで書いたような減点ポイントも、その場ではもちろん表に出してないし。
単純に、金の無い客だと思われたんでしょうか。
それとも会社として新規の客など受けていられないほど忙しかったんでしょうか。
まぁとにかく、「縁がなかった」のひと言です。
X工務店にはワクワクしながら行っただけに、それまでで一番のショックでした。
やっぱり雑誌やら口コミだけで分かった気になってちゃいけないんですね。
訪問のBeforeとAfterでこんなにも変わるのかというくらい、X工務店は完全圏外へ。
別にX工務店が悪い会社だと言ってるんじゃないので誤解しないで下さいね。
普通の小さな建築会社で、ひたすら性能の高い家を追い求めてるんだと思います。
X工務店で建てて大満足だという施主さんたちの声は きっと嘘じゃないでしょう。
会社のほうも、お客には困っていないようでした。
ただ、X工務店が重視している部分と軽視している部分が、私たちの感覚とは全然違ったということです。
結婚相手と同じように、工務店とお客の相性は本当に大事。
それを思い知らされた一件でした。