【OOSHITA’s BLOG】

玄関編、今回でようやくラストです。

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暗い写真でスイマセン。

これは、玄関ホールから家族用玄関方向を見た構図。奥のほうが家族用玄関スペースです。
右手前にあるなんだかギラギラした黒っぽい引き戸を締めれば、お客さんに家族用玄関を見せないように隠せるというわけです。

このギラギラドアは、LIXILのグランドライン・ラフィスというもの。
鏡面仕上げで、色はモーヴグレーといって、紫に近い色です。
鏡面仕上げなのに、驚くほど指紋や汚れが付きません。不思議ですね。

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このラフィスは、私たちが打ち合わせをしていた頃には新商品だったらしく、森住建でこれを使うのは初めてだと言っていました。

紫の鏡面仕上げなんて、私たち自身では絶対に考えもしない冒険商品だと言えますね。
桐山さんの提案で採用したわけですが、こういう大胆なチョイスはどちらかというと田中さんぽいです。たぶん、最初にラフィスを使おうと言い出したのは田中さんで、それが桐山さんを通じて提案されたんじゃないかなぁ、と勝手に推測。

それはともかく。

今回のポイントは、ラフィスが開き戸ではなく、引き戸だということ。

というのも、このラフィスの位置は、もともとの設計では開き戸だったのです。それを引き戸に変更するにあたり、ラフィスを採用しました。
なぜ、開き戸から引き戸へと変更になったんでしょう?引き戸にするメリットは何なのでしょう?

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まずは、あえて戸を開けておきたい場合に、開き戸よりも引き戸のほうが断然イイということです。
開き戸は、開放時に扉が邪魔になるし、扉の可動域には何も置けません。また、風でバタン!と閉じたりするし、「風通しのためにちょっとだけ隙間を空けておこう」と思っても、それは基本できません。

また、開き戸だと、勢いよく開けた扉が人にぶつかるなんていうこともあるかもしれませんね。
ちなみにいつも全力で扉を開ける私は、ある施設で何の気なしにガラスの開き戸を開けたところ、なぜかそこに金属製のゴミ箱が置いてあり、ガラス扉が粉々に砕けたという苦い思い出があります。

それはともかく、こういった開き戸の難点は、引き戸にすることで解決できちゃいます。

一方で、引き戸ももちろんメリットばかりではありません。デメリットもあります。

・気密が取りにくい

・開き戸より値段が高くなる

・戸口の横に、戸もう一枚分のスペースが必要(じゃないと開けられない)

・戸の横にスイッチ類を付けられない

といったところでしょうか。
何に関してもそうですが、メリットとデメリットはきちんと整理して天秤にかけ、よりよい方を採るべきですね。

ウチの場合は、なるべくスッキリと場所をとらず、開けたいときは開けておけるメリットから、引き戸を採用させてもらいました。
屋内なので、気密の優先順位はそれほど高くない(というか、普段開けておくことが多いなら気密もなにもない)と思いますしね。
値段はまぁアレですが、長期モデルハウス契約の恩恵もあり、値段を理由に引き戸をあきらめるほどの差額はありませんでした。

ところで、引き戸のデメリットの一つとして挙げた「横にスイッチ類を付けられない」

これは確かにそうなんですが、じゃあその壁にはなにも付けられないの?ただのまっさらな壁にしておかなきゃいかんの?

そうではありません。
スイッチは壁から出っ張ってるからダメなのです。凸がダメなら、凹で活用です。
というわけで、また桐山田中ペアが工夫してくれました。

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冒頭にも掲載した写真ですが、この引き戸を閉めると…

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隠れていた壁は大きなニッチのようになっており、天井から床までの飾り棚が現れます。
凸のスイッチは付けられなくても、凹のニッチは作れるわけですね。
もちろん、どうしてもそこにスイッチが必要ならば、ニッチを作ってその中にスイッチを付けてしまうことも可能でしょう。(もっともその場合、引き戸を一旦閉めてからじゃないとスイッチを押せず不便ですが…)

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この飾り棚には、森田画伯たちからいただいた絵や子供の写真を飾り、下の方にはスリッパ立てなどを置いています。

お客さんが来たときにはこの引き戸を閉め、家族用玄関を隠す。すると自動的に飾り棚やスリッパが現れ、来客応対モードに切り替わるわけです。
右を隠せば左が現れる、左を隠せば右が現れるという引き戸の作りをうまく利用した仕掛けだと思います。

頭が柔らかくなきゃ、こういう図面は引けませんね、きっと。
ウチの担当者の頭のぐにゃぐにゃ具合が分かった部分でした。